F先からの手紙

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2012年6月13日
 読書の千本ノック
  アスリートの「勝負強さ」って何だろう。ここぞという場面で活躍する選手がいれば、チャンスに限って力を発揮できない選手もいる。持って生まれた運なのか、ずっと不思議だった。
 石川県の星稜高校の野球部の名誉監督の山下智茂さん(67)は、「野球は人間がやるものだから、心がしっかりしていないとプレーに表れる。ところで人間性を豊かにして、精神力と忍耐力を同時に高める指導法がある。何かわかりますか?」という。答は「読書」。だから野球部員にいつも「本を読め」と指導する。
 山下さんの“読書の千本ノック”をまともに受けて立った高校球児がかつていた。山下さんはこの生徒のために3年間計画を立てて、定期的に書物を手渡し続けた。最初は日本や世界の歴史書。続いて国内の教養書。福沢諭吉、二宮尊徳、アリストテレス・・・・。
 過酷な野球練習の後も、生徒は片道1時間の電車通学を利用し、本を読み続けた。と山下さんは振り返る。その生徒の名は、松井秀喜。
 「彼、松井秀喜君は、僕が知る中でもっとも本を読んだ高校生です。」

 今もこの大リーダーの周囲には読書の水先案内人がいる。筆頭は作家、伊集院静さん。「書物が人を勇気づけることを知っている稀有なプロ野球選手」と賞賛する。郷里では山下さんと松井選手の父昌雄さんが本を選び、年に一度の帰省を心待ちにする。今年山下さんはカーネギーの自己啓発書、昌雄さんは孫正義氏の著作を手渡した。
 松井選手は高校生の頃から皆がなぜ、自分のためにその本を選んだのか、人々の思いを心の深いところで受け止め、一冊一冊を自分の血肉としてきたのだろう。彼がここぞという試合で本塁打を打てるのは書物で“心の筋肉”を鍛えてきたからなのかもしれない。
 さて、皆さんも、“読書の千本ノック”をうけてみませんか。紙に名前を書いていただければ、私がノックしてあげますよ。